活動実績(2023年度)

1.(株)北海道電力・泊原子力発電所見学会

(北海道泊村)

北海道電力(株)・泊原子力発電所を見学し、原子力発電所の構造、機能について学ぶ。
見学会案内資料
 添付1-1-1 2023年度北電・泊原発見学会案内
 添付1-1-2 2023年度北電・泊原発見学会案内(英訳)

日時

2023年11月17日(金)(事前講義)
2023年11月18日(土)

開催場所

(株)北海道電力 泊原子力発電所
https://www.hepco.co.jp/energy/atomic/atomic.html

参加者

学生19名
 添付1-2 2023年度北電・泊原発見学会参加者名簿
引率:北大教員2名

内容

  • とまりん館にて、原子力発電所の概要について、概念的に学ぶ。
  • 屋外において、自然災害などに対する防災体制に係る防潮堤等を見学する。
  • 屋内設備においては、制御設備、発電設備、更に原子炉設備、燃料取扱い設備がある管理区域に入るとともに、原子炉格納容器内に入域する。
  • シミュレータ設備に実際に触れ、原子炉の運転を体験する。
  • 日程詳細は添付1-1-1, 1-1-2を参照。

事前学習資料

 学生は、事前に下記オンライン学習資料を視聴及び事前講義を受講し、以下の事前質問を提出した。
 添付1-3 2023年度北電・泊原発見学会案内・事前質問集

事前講義

・講義名:「北海道電力と原子力発電」 
講師:北海道電力株式会社 原子力事業統括部 原子力企画グループ 大崎達朗氏
 添付1-3-1 2023年度北電・泊原発見学会案内事前講義資料
 添付1-3-2 2023年度泊原発見学会事前講義資料(英訳)

・講義名:「泊発電所 シミュレータ訓練」 
講師:北海道電力株式会社 泊発電所発電室 竹谷氏
 添付1-3-3 2023年度泊原発見学会事前講義資料

#01「原子炉工学」
https://ocw.hokudai.ac.jp/lecture/backend-nuclear-reactor-engineering

アンケート結果

学生の意見の例

  • 普段だったら行けない原子炉の格納容器へ行けたのがとても面白かった。 ただ、後半のシミュレーターの部分は複雑で途中から参加したのでよく分からずに終わってしまったのが少し不完全燃焼感があったので、シミュレータの代わりにもっと施設の見学説明に時間を割いた方が良いのではないかと思った。
  • 前日の事前講義の受講を必須にしてもいいと思った。ちょうど原子炉工学を受講中で、事前講義にも出席していたので、理解が深まったように思うが、もし出ていなかったら用語が難しくてなかなか分からなかったと思う。 実際に格納容器内に入れたり、丁寧な説明を受けることができてとてもためになりました。ありがとうございました。
  • 室内の音が大きく、聞き取れない場合があるので、少し大きな声でお話して頂けると幸いです。
  • 今回は時間がなくて難しかったが、シミュレーターの事故事情を見ながら操作をしてみたかったです。ただ、1班の見学の説明が詳細で大変わかりやすかったので、見学の時間はこれ以上短くせず来年もやっていただけるとありがたいです。 シミュレーターのモニターがすべて日本語で、留学生に口頭で説明するのが追いつきませんでした。モニターの数字の意味がわからないと楽しめないと思うので、モニターの写真に英訳をつけたような資料が貼ってあったり、事前に配られるといいと思いました。
  • The tour was an amazing experience for me as it the first time visit of a nuclear power plant. However, during the lecture session they could assign a English interpretor which will be helpful for the non Japanese citizens.
  • It would be useful to have an English speaker guide for international student that do not speak Japanese.
  • For me, this tour will be very satisfying if I can understand Japanese well. I can make many communication with the company staff.

2.北海道大学 電子加速器駆動中性子源を利用した中性子放射化実験・ガンマ線スペクトロメトリーによる元素分析実験実習

(北海道札幌市)

中性子ビームなどの量子ビームを利用した物質科学・材料科学・生命科学・原子核物理学・素粒子物理学・産業利用・がん治療・薬学利用などが行われている。この中で、中性子放射化・ガンマ線スペクトロメトリーによる元素分析実験は、宇宙探査機が小惑星から持ち帰った砂岩や、古文化財といった、貴重なサンプルの非破壊元素分析に用いられる。

本実習では、中性子ビームを利用した材料研究・食品研究・文化財研究・耐宇宙線半導体研究など幅広い学術研究・産学連携研究・国際共同研究をオンデマンドに実施している、北海道大学大学院工学研究院の電子線形加速器駆動パルス中性子実験施設「HUNS」を利用して、中性子放射化・ガンマ線スペクトロメトリーによる元素分析実験を経験してもらう。ごく基本的な内容であり、初学者も安心して受講可能なプログラムを組んでいる。一方、初学者以外にも貴重な経験ができるよう、普段と異なる環境と人に囲まれて、放射線実習はもちろん、スペクトル解析、受講生の自由な発想に基づいたディスカッション等が経験できるようなプログラムとしている。

実験実習案内資料
 添付2-1-1 2023年度北大 HUNS実習案内
 添付2-1-2 2023年度北大 HUNS実習案内(英訳)

日時

2023年8月28日(月)~9月1日(金)

開催場所

北海道大学 大学院工学研究院
瞬間強力パルス状放射線発生装置研究室(北大LINAC)
https://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/QBMA/LINAC/

参加者

内容

  • 実習計画
  • 放射線施設の教育訓練
  • 北海道大学電子線形加速器・中性子実験施設の紹介と見学
  • 量子ビーム/中性子科学概論
  • 加速器・中性子ビーム源・中性子ビーム工学概論
  • 中性子放射化分析概論
  • 北大電子線形加速器駆動中性子源「HUNS」を利用した中性子放射化実験
  • NaIシンチレーター式ガンマ線スペクトロメーターによるガンマ線エネルギースペクトル測定
  • スペクトロメーターのエネルギー校正実験
  • スペクトロメーターのエネルギー分解能評価実験
  • ガンマ線バックグラウンド
  • 中性子放射化試料からのガンマ線のスペクトル測定
  • 元素・核種の同定・定量
  • 試料照射位置における中性子束の推定
  • 詳細日程については添付2-1-1及び2-1-2を参照。

アンケート結果

学生の意見・感想の例

  • 加速器が実際に動かした実習は初めてだったので新鮮であった。もっと自分たちの実験でも加速器を使いたかった。
  • 部屋がちょっと暑い、太い私にとって、ちょっと耐えられない。
  • グループワークで追加の実験を考えて行うというのが非常に良かった。
  • とても充実した実習でした。ただ加速器の運転が一回だけでもっと加速器を運転したかったです!
  • 全体を通して、楽しく実習に参加することができました。

3.静岡大学及び中部電力(株)浜岡原子力発電所における放射化学実験実習

(静岡県静岡市及び浜岡市)

本実習では、放射能・放射線の基礎的知識を、実習を通じて習得する。密封RIの実習では、放射線の種類・エネルギー等の違いによって、検出器の種類が異なること、被ばく線量は線源からの距離に反比例すること、放射線測定器の原理を知るとともにエネルギースペクトルを測定し、核種を解読するとともに、放射能量を測定する。非密封RIの実習では、被ばく、汚染、廃棄、保管方法などの安全な取り扱い方及び管理方法を習得する。特に、大線量照射装置を用いた線量評価手法である化学線量計の測定手法について習得する。密封RIの実習では、放射線の種類・エネルギー等の違いによって、検出器の種類が異なること、被ばく線量は線源からの距離に反比例すること、放射線測定器の原理を知るとともにエネルギースペクトルを測定し、核種を解読するとともに、放射能量を測定する。非密封RIの実習では、同位体希釈分析法による分析・評価手法について習得するとともに、低エネルギーβ線を放出するトリチウムの取扱方法および測定手法を被ばく、汚染、廃棄、保管方法などの安全な取り扱い方及び管理方法を習得する。

実験実習案内
 添付3-1-1 令和5年度前期静大及び浜岡原発実習案内
 添付3-1-2 令和5年度後期静大及び浜岡原発実習案内
 添付3-1-3 令和5年度後期静大及び浜岡原発実習案内(英訳)

日時

第1回 2023年9月25日(月)~9月29日(金)
第2回 2023年12月23日(土)~12月27日(水)

開催場所

静岡大学
https://www.shizuoka.ac.jp/

中部電力浜岡原子力発電所
https://www.chuden.co.jp/energy/nuclear/hamaoka/

参加者

内容

  • 静岡大学における実習
    • サーベイメータの使い方
    • DNAの32Pラベル化
    • 比例計数管を用いたトリチウム測定
    • フリッケ鉄線量計による測定
    • Ge半導体検出器の取扱
    • GM計数装置の取扱と放射線計測
    • 同位体希釈分析によるCaの定量
  • 浜岡原子力発電所における実習
    • 放出放射能管理実習
      気体廃棄物処理設備性能管理・気体廃棄物処理設備見学
    • 放射線管理測定実習
      管理区域内表面汚染密度測定評価・管理区域内空気中汚染物質濃度測定評価
    • 運転訓練シミュレータを用いた原子炉の運転
      原子炉臨界の実習・原子炉の安全性の確認
    • 環境放射能測定実習
      波高分析装置をつかった放射能分析実習・モニタリングカーを用いた環境放射能測定実習
  • 詳細日程については添付3-1-1及び3-1-2を参照。

事前学習資料

テキスト「第2版 放射線計測と安全取扱」

オンライン資料
放射化学概論

アンケート結果

学生の意見の例

  • 知識としては知っていましたが、実物は見たことがなかった機器を直接見て操作させていただき、理解を深めることができました。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。静岡大学の管理区域は茨城大学と比べると凄く充実していて羨ましいです…
  • 個人的には浜岡原子力発電所よりも学内実験の方が放射線に触れられたので楽しかったです。原子力発電所では普段立ち入らないような空間に入れたことは経験として今後の糧になったのでとても良かったと思います。わざわざ宿泊までしてみるに値する旅だったと強く思います。施設としての管理区域であるしお客様である我々には触れさせてもらえないのはわかっていますが、やはり管理区域内だから放射線がもっと近くにあるような状況を期待してしまいました。学内実験は教員はもちろんいますがTAの尽力があったため、2年生であるがなんとか実験について行くことができました。実験内容を理解するにはより高度な授業を受けて知識を持たねばならないなと思いました。今後の授業を受けて理解できるようになる部分も多々あるように思います。TAの方々は言うところはきちっと言ってくれるけど優しく接してくれたので楽しく最後までできました。コイン線源がこんなにも適当に扱っていいんだというところには驚きました。何でもかんでも体に触れてはいけないと本能的(?)に思ってしまっていたので、考え方は変わりました。ただ、洗っても落ちない部分、極少量でも反応するほど強い線源になる部分においては逆に恐怖であると実感しました。汚染除去の実験からもわかった通り五感で感じることのできない体に有害なものということで、そこにはいままでよりも強く恐怖感を感じることになりました。適切に怖がる必要があると言いますが怖がりたくなる原因は多くあると思いました。怖い怖いと言いながらも中身が見えないのはほんとに危険であるなと思いました。水のように容積が一目でわかるものでないのも怖がる原因であると思います。ここに〇〇あるけどこの何倍で人に影響がある。と言われても見えないし感じられないのでイメージがつきにくいものだと感じました。私は感覚とイメージで事象を掴むタイプのためイメージできないのは難しいものだと本能的に思ってしまいました。
  • とても面白く非常に勉強になった実習でした。
  • 帰る時間帯が遅くなってしまったので、浜岡で直接解散するかと掛川に送って行っていただけると助かると感じた。
  • 今実習のおかげで放射線についての理解を深めることが出来ました。中々出来ない貴重な体験が出来て、参加して良かったと思っています。
  • 2年生など放射線の講義をあまり履修していない人などからしたらかなり難しい内容だったと思うのでもう少しわかりやすくできたら良いと思いました。
  • 最終日の実習が駆け足気味だったと思うので、日数を増やしたほうが良いと思う。
  • 実験後に配布されるデータにもう少しデータ名をつけて欲しい(なになのか分からないデータがあった)
  • 短期間で多くの項目の実習を行うため、効率的にこなすために入域の渋滞が解消される策が有れば良いと思いました。
  • 放射に関して曖昧だった知識の定着と、新たな知識の獲得が出来て良い経験になりました。
  • 座学でする内容よりもとても頭に入ってきやすく、実際に原子炉に訪れて、予想以上に災害対策がされていていることがわかった。 また福島の事故の原因とうも聞けてとても良かった。
  • 班分けがいつも関わらない違う学科の人と同じで、新たな繋がりができてよかった。実習も新しいことを短い期間でたくさんできて楽しかった。TAの方も優しくて聞きやすかった。
  • 生物科なので少ない知識でしたが実習やレポートを通して学んでみたいと感じた。
  • 今まで原発に関してはほぼ知識がなかったが、いかに厳重に管理されているか、どれほどの人が携わっているか知ることができた。また放射線も危ないというイメージしかなかったが、適切な管理の元では有用で、その管理が重要であるということも学べてとても良い機会になった。
  • 放射線概論を受けたが、あまり放射線について理解はしていなかった。だが、百聞は一見にしかずの通り、実際に見たり行ったりしたことで、頭のなかにすんなりと入るようになった。
  • 実習前は知らないことが多かったが、説明を受けて実習を行う中で知識が深まって良かった。特に原子力発電所の見学では危険なイメージが強かったが、さまざまな対策が行われていることを知れて興味深く感じた。

4.日本原子力研究開発機構・幌延深地層研究センター及び北海道科学技術総合振興センター・幌延地圏環境研究所における見学会

(北海道天塩郡幌延町)

地下施設での調査研究の一端に触れることにより、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発への理解を深めることを目的とする。北海道幌延町にある、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターにおいては、地下調査坑道などの施設を見学し、同センター職員との意見交換を行う。また、幌延地圏環境研究所においては、同研究所で行われている微生物、地下水、堆積岩など研究の現状について学ぶ。
最後に北海道大学において、本実習にかかる議論を行う。

見学会案内
 添付4-1-1 JAEA幌延実習案内
 添付4-1-2 JAEA幌延実習案内(英訳)

日時

2023年8月6日(日)~8月8日(火)

開催場所

参加者

内容

  • 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター・幌延地圏環境研究所(幌延ライズ(H-RISE):Horonobe Research Institute for the Subsurface Environment)は、JAEA 幌延深地層研究センターの深地層研究施設を活用し,地圏の場と性質を利用した地球環境の改善に関する諸研究を展開するために 2003(H15)年6月に設立された。本研究所では、地下微生物環境研究グループ、地下水環境研究グループ、堆積岩特性研究グループの3つ研究グループが、堆積岩層に建設中の幌延深地層研究施設や北海道北部に分布する天北炭田等を活用して、珪藻質岩層や石炭層の地下環境を理解するためのフィールド科学に関する研究と、その地下環境を活用したメタンガス鉱床開発や二酸化炭素貯留を実現するための要素技術開発に関する研究を実施しており、これらに係る実験室を見学した。
  • 幌延深地層研究所においては、本研究所計画の概況説明の後、以下を行った。
  1. 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター・幌延地圏環境研究所(幌延ライズ(H-RISE):Horonobe Research Institute for the Subsurface Environment)

2.幌延深地層研究所

  • 講義:Horonobe_Overview
    講師:
    講義資料
     添付4-3-3 Horonobe_Overview_2023
  • 講義:Practical training on geochemical investigation:
       Geochemical monitoring and water sampling at the 250 m gallery
    講師:JAEA, Horonobe Underground Research Department, Safety Assessment Research Group
    Keisuke Sakuma, Hiroaki Murakami, Fairat Koraphat
    講義資料
     添付4-3-4 training geochemistry
  • 講義:Practical training on geophysical investigation:-Seismic survey at the 140 m gallery –
    講師:JAEA, Horonobe Underground Research Department Yusuke Ozaki
    講義資料
     添付4-3-5 training geophys surv
  • 実習・見学
    • 250m坑道見学
    • ゆめ地創館見学
    • 地層処分実規模試験施設見学
    • 実習:250m坑道地下水水質検査
    • 実習:ボーリングサンプル観察(掘削影響調査)

・詳細は添付4-1-1, 4-1-2を参照。

事前学習資料

<その他、参考となる教材>

質疑

グループディスカッション

渡辺先生の指導の下、本実習に係る議論を行った。
詳細は、議論用資料:添付4-5-1 グループディスカッション導入資料を参照。

議論における学生作成資料
添付4-5-2 グループディスカッション発表資料 A班
添付4-5-3 グループディスカッション発表資料 B班

アンケート結果

  • 学生の意見の例
    • 私は放射線生物学について大学で専門しております。就職先として原子力規制庁を志望するため、自分の専門分野以外の知見を深めるため参加しました。地下で研究している内容や廃棄物処理の課題点、施設に訪れた方の意見などを知るなかで日本における放射性廃棄物の現状を把握することができました。まだまだ、処理における運搬方法に議論の余地があることや多くの反対意見について知ることができました。貴重な体験の場を作って頂き誠に有難う御座いました。
    • できれば深地層研究センターでもう少し最新の研究結果について知りたいでした。様々な分野の研究者や学生と交流できて最先端の研究を見られて、非常に満足でした。
    • 自分がこの実習に参加しようと思ったのは、単純に350メートル下の世界がどうなっているのか知りたかったのと、地下でやった研究が何に活かされるのか知りたかったからです。実際にこの実習に参加してみて、ここの研究がほかの処分場を作った際に考慮しなければいけないことや、周りの住民の理解を得るために必要だと思いました。
    • 正直自分は、深地層にすごく興味があったわけではなく、友達に誘われたのと、自分は原子力系で学んでいるので、地層処分の研究の実習は、いい機会かなと思い参加しました。しかし、今回この実習に参加して、自分が知らなかった地層のことや放射性廃棄物処分のための研究について、実際に体験し、学ぶことができていい機会になりました。印象に残ったこととしては、地下水のサンプルを採取して地上に持ってきてから分析すると、実際の地下水の状況と大きく変わり、今後の研究のミスリードになってしまうということ。実際に掘って、始めに幌延を地上から調査した時の予想とは違う状況になっていた時に、初めのデータの正しい解釈の仕方がわかったので、今後の地上からの調査の際にこの今回学んだ解釈の仕方が役に立つ、ということです。この二つを知っていることは、今後の自分の研究や人生で、直接的でなくとも間接的に役に立つと思うので、今回学べてよかったと思いました。また、他の大学の学生や、海外の学生との交流を通して、自分ももっと頑張らなくてはと、いい刺激をもらいました。この実習に参加して本当に良かったと思います。この実習の改善点として、世間の夏休み中という繁盛期に実施すると、飛行機代やホテル代が高くなってしまうので、ずらせるのであればずらすと良いと思いました。また、自分は福井からなので前泊したのですが、その前泊のホテルがなかなか空いておらず取るのが大変だったので、前泊の案内などももう少し早めにしていただけたらありがたかったと思います。
    • 今回の見学では,グループ内に同大学が多かったので,ある程度混合させても良かったと思いました。
    • 3日目にやったグループディスカッション形式での話し合いを増やすと、より能動的に学べると感じました。
    • I am pretty lucky to have a chance to visit the Horonobe Underground Reacher Lab, every course is so clear that I can get into the swing of things well.To see those facilities in person let me feel the disposal of HLW is more safety than I used to think.
    • 台湾の方々と交流することができて英語の勉強にもなったと思いますが、日本の方が少ないために心細さも感じてしまった為、日本と海外の方の割合を等しくするなど、班分けについてもう少し考えると良いかと思います。
    • もう少し他大学の人と交流する時間が欲しかった。
    • Everything’s great! Especially thanks to all the members for being willing to explain the ideas in English. I’m truly appreciative and impressed.
  • アンケート結果
     添付4-6 JAEA幌延実習アンケート結果

5.日本原子力研究開発機構原子力科学研究所 NSRRにおける研究炉炉物理実験

(茨城県東海村)

本実習では、原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いて臨界近接実験、正ペリオド法及び落下法による制御棒校正の方法を学ぶとともに、実際に制御棒などを操作して原子炉の運転を体験することで、実習を通じて、原子炉物理の理論を理解することを目的とする。

実験実習案内資料
 添付5-1 JAEA・NSRR実習案内

日時

2023年10月16日(月)~10月17日(火)

開催場所

国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 原子力科学研究所 NSRR原子炉施設
〒319-1195 茨城県那珂郡東海村大字白方2番地4
https://drrta.jaea.go.jp/2/23.htm

参加者

内容

  • 実習内容:
    実習は座学と実験実習からなり、2 日間程度をかけて以下の 5 項目を学ぶ。
    (1) NSRRについて(座学と見学)
    (2) 臨界近接(座学と実習)
    (3) 制御棒校正(座学と実習)
    (4) 原子炉の運転(座学と実習)
  • 詳細日程については添付5-1を参照。

事前学習資料

アンケート結果

  • 学生の意見・感想の例
    • ① 求先生や小林課長、皆さんが丁寧にご説明下さったので、安心して受講できました。有難うございます。私は原子力分野を専攻しておりません。しかし、学生時代にJAEAのバックエンド部門に合格したことや、日本原子力学会若手連絡会のワーキンググループ委員(メンバー)をやっていること、そして何より、原子力・放射線分野に関心があります。今回の機会は、原子力という広大な分野を学び始める手掛かり・足掛かりとなり、大変有用でした。有難うございます。実験実習終了後も、頂いた実験資料や講義動画を見て、勉強していきたいと思っています。
       ② 個人的な体質で、見知らぬ土地や初めての人達と作業すると、混乱が多くなってしまい、慌てたり、気を張り過ぎて疲れたりしてしまいます。その為、一日の実習の後半になると、学びたいけど累積疲労によって集中できない状態になり、ぼうっとしてしまい、勿体無い思いをしました。もしかしたら、一般の方々はあまり気にならないプログラムかも知れませんが、私にとっては半日ずつだったり、14:30頃に解散して続きは翌日、とかにして頂けると助かります。
       ③ 上記②の体質上の特性から、皆で一緒に行う実験や実習は(学術的な興味はあるものの)苦手です。事前に公開されていた北大の学習動画を、じっくりと見て一人で勉強する方が安心して学べます。しかし、実験でなければ得られない経験や、人との繋がりもあります。その為、探究心や向学心から、今後も継続して原子力系の実習企画に応募したいと思います。
      つきましては、NSRR課や、JAEA内で、今回のように一般人でも参加できる実験実習企画がありましたら、今後、教えて頂けると大変有難いです。
    • 大変有益かつ貴重な体験をさせていただき、誠にありがとうございました。見学においては、運転中の炉心、制御棒、チェレンコフ光を直接見られるのは研究炉に限られ、稼働中の炉も少ないことから、このような見学が日本中でほぼここだけかと思われ、貴重な経験でした。実習生の東京電力の社員の方も運転中の炉を見たのは初めてだとおっしゃっていました。原子炉を学ぶ人でも、実際の炉がどうなっているのか、イメージを持って研究できている人は少ないかと思います。実際の情景を知っていることが、研究の中で発想を広げたり、モチベーションを上げることにつながると思いました。また、実験では炉物理の理論が、実際の現象とどう結びつくのかを考えるきっかけとなりました。炉物理の理論や数値計算では現象は理想化されています。一方で今回の実験では、中性子、温度などの計測の方法が制限されていることや、実験でノイズが入ってしまうことなどを実際に体験しました。理論を実際の原子炉に活かすには、計測器や誤差などの影響も考察して対策する必要があるということを意識することが大切だと思いました。また、実験を通して他の実習生と仲が深まり後の学会でも交流するきっかけになったり、他の人の炉物理に対する理解度がわかるのも面白い点でした。要望として、事前学習教材のスライド資料がわかりやすかったので、配布して実習中も見られるようにすると理解がよりしやすいのではと思いました。原子炉を研究している同級生にも来年参加するように勧めてみたいと思います。本当にありがとうございました。
    • 普段経験することのできない、原子炉の運転を体験することでき原子炉運転の安全運転が一層重要であることを知ることができました。
    • 理解を深めるために大変良かったので、回数や人数を増やして多くの学生に参加してもらうのが良いと思います。

6.日本原子力研究開発機構原子力科学研究所 核データ工学実験「重イオン核融合反応実験―超重元素の合成方法を学ぶ―」

(茨城県東海村)

自然界に存在する最も重い元素はウラン(U、原子番号92番)である。これより重い元素は、原子核反応を使って人工的に合成されてきた。日本では、理研が中心とするグループが新元素113の合成に成功し、アジアで初めての元素の命名権を獲得、元素名「ニホニウム」を与えた。これまで人類は、118 番元素までの合成に成功している。

原子炉の中では原子核が中性子を吸収してできるある種の原子核がβ-崩壊することで、一つ重い原子番号の元素が作られる。ウランから始まり、この過程を繰り返すことでフェルミウム(Fm,100 番元素)までの元素が原子炉の中で生成される。一方、ニホニウムなどはどのように作られるのか。

フェルミウムより重い原子核は、“重イオン核融合反応“で生成される。加速された原子核を、標的原子核にぶつけ、合体させる反応である。ニホニウムの場合、亜鉛原子核(Zn、原子番号30)を加速し、ビスマス(Bi,原子番号83)にぶつけることで、30+83=113 番元素が作られた。世界では、118 番を超える元素を作るべく、世界各国が競争している。

本実習では、この重イオン核融合反応に関する基礎と実験方法を学ぶ。このため、タンデム加速器からの重イオンビームを標的に照射し、自然界にない原子核を合成する。実験では、生成した原子核をビームから分離する方法、および生成した原子核の核種の同定方法について学ぶ。

実習を通じて「原子核の基礎」「検出器の動作と放射線計測技術」「データの解析方法」等を学ぶことにより、原子力技術者の育成はもとより、将来の科学者の先駆け的な育成を目指すことを目的とする。

実験実習案内資料
 添付6-1 JAEAタンデム実習案内

日時

2023年11月6日(月)~11月10日(金)

開催場所

JAEA・原子力科学研究所・タンデム加速器施設
https://ttandem.jaea.go.jp/

那珂研究所
https://www.qst.go.jp/site/naka/

参加者

内容

  • 実習内容:実習は座学と実験実習からなり、4日間程度をかけて以下の4項目を学ぶ。
    • 重イオン核融合反応の原理と超重元素の世界(座学)
    • 加速器の原理とビームの輸送(座学と実習)
    • 生成原子核を運動学的に分離する(座学と実習)
    • 放射線計測による生成原子核の同定方法(座学と実習)

最終日に、本実習にかかる総合的な討論として、ディスカッションを行う。

  • 詳細日程については添付6-1を参照。
  • 講義資料

 1.講義名:「超重元素と重イオン核融合反応」 
 講師:JAEA 先端基礎研究センター 研究フェロー 西尾 勝久氏
 講義資料
  添付6-3-1 超重元素と重イオン核融合反応
  添付6-3-2 Superheavy Elements and Heavy Ion Fusion Reactions

   2.講義名:「反跳生成核分離装置を用いた実験」 
 講師:JAEA 先端基礎研究センター 研究フェロー 西尾 勝久氏
 講義資料
  添付6-3-3 反跳生成核分離装置を用いた実験
  添付6-3-4 Experiments using a recoil-producing nuclear separator

   3.講義名:「α崩壊と生成核種の同定」 
 講師:JAEA 先端基礎研究センター Riccardo Orlandi氏
 講義資料
  添付6-3-5 α崩壊と生成核種の同定
  添付6-3-6 Alpha decay and identification of nuclides produced

   4.講義名:「蒸発残留核断面積の導出」 
 講師:JAEA 先端基礎研究センター 廣瀬 健太郎氏
 講義資料
  添付6-3-7 蒸発残留核断面積の導出
  添付6-3-8 Derivation of evaporation residual nucleus cross section

   5.講義名:「データ収集の仕方」 
 講師:JAEA 先端基礎研究センター 牧井 宏之氏
 講義資料
  添付6-3-9 データ収集の仕方
  添付6-3-10 How to collect data

アンケート結果

  • 学生の意見・感想の例
    • もっと難しく紹介して欲しいです。
    • 来年ぜひリベンジ参加したいです。
    • 実習の期間がもう少し長くでも、良いかと感じた。解析の方法などをもっと詳しく学べたらと感じた。
    • 先導してくれる方々がとても温和でリラックスして実習に参加できました。5日間とても楽しかったです。前提知識がないと難しい分野があったので、事前学習があるとより実習の理解が深まると思います。
  • アンケート結果
     添付6-4 JAEAタンデム実習アンケート結果

7.日本原燃株式会社・再処理事業所及び濃縮・埋設事業所、電源開発・大間原子力建設所並びに公益財団法人・環境科学技術研究所施設見学会

(青森県六ヶ所村)

日本の核燃料サイクル事業に関する知見を深め、原子力産業の将来について考える機会を設けるため、日本原燃株式会社における再処理工場及び低レベル放射性廃棄物埋設センター・放射性廃棄物処理施設(青森県六ヶ所村)を見学する。同施設の専門家による原子燃料サイクル及びこれら施設についての講義を受講し、意見交換を行う。

原子力発電所の構造に関する知見を深め、その機能を理解するため、建設中の電源開発・大間原子力建設所を見学する。同施設の技術系職員による説明を受け、意見交換を行う。

核融合炉開発に関する知見を深め、その研究・開発の状況を理解するため、QST・六ヶ所研究所の施設・装置を見学する。同施設の研究者・技術者による説明を受け、意見交換を行う。

見学会案内資料
 添付7-1 2023年度JFNL・J-POWER等見学会案内

日時

2023年11月24日(金)~11月25日(土)

開催場所

日本原燃株式会社・再処理事業所及び濃縮埋設事業所
https://www.jnfl.co.jp/ja/

電源開発株式会社・大間原子力建設所
https://www.jpower.co.jp/bs/nuclear/oma/about.html

公益財団法人環境科学技術研究所
https://www.ies.or.jp/

参加者

内容

  • 日本原燃
    • PR館にて、日本原燃会社概要及び核燃サイクル概要説明および見学
    • 燃料濃縮工場の外観を見学
    • 低レベル放射性廃棄物埋設地及び放射性廃棄物中深度処分調査坑を見学
    • ガラス固化技術開発施設、技術開発研究所を見学
    • 再処理安全対策工事現場において、主排気筒 竜巻対策工事、再処理本体用安全冷却設備新設工事及び新緊急時対策所建設現場を見学
    • 高レベル放射性廃棄物管理施設を見学
    • 最後に、日本原燃・社員との懇談
  • 電源開発
    • 大間原子力建設所の概要説明
    • 現場見学(ヤード、運転シミュレーター、原子炉建屋内)
    • 建設所職員との懇談・質疑
  • 公益財団法人環境科学技術研究所
    • 概要説明
    • LIPAc 遠隔制御室
    • スパコン
    • IFMIF 加速器施設
    • 原型炉 R&D 棟
    • ブランケット工学試験棟
    • 意見交換

事前学習資料

#07「核燃料サイクル工学」

質疑

アンケート結果

  • 学生の意見の例
    • 2日間ありがとうございました。非常に刺激的な2日間でした。文献や知識で知っていたもの以外にも新しく知ることが多く楽しかったです。まだ2日間の出来事を上手く処理しきれていないので薄い感想になっていますが、帰宅後じっくり改めて勉強しながら今回の内容を振り返ろうと思います。2日間本当にありがとうございました。
    • 大間原子力発電所や、六ヶ所では撮影禁止エリアが多かった。スリーマイルは、ほぼ撮影可能だった。オープンイノベーションとセキュリティのせめぎ合いだが、もう少し写真可能にしても良いのではないか。
    • 先端分子生物化学センターにて、ゲノム解析により死因を推定できるとあったが、実際の死因との検証はどのように行い、精度はどの程度なのか知りたい。
    • 実際の濃縮や加工施設内見学出来ればなお良いです。
    • 原子力発電技術に対する自分で持っていた知見と、この実習で新たに学べた知見を合わせることができ、とても有意義な経験になった。特に印象に残っているのは、大間原発の運転シミュレーションの見学である。デジタル式の制御盤やパネルはアナログ式しか見たことがなかった自分にとって将来、発電所操作員になりたいという意欲を掻き立てる良い刺激となった。もっと原子力に対する知識や技術を向上させ、自分が原子力発電所の技術者として、国民の原子力に対する不安感や恐怖感を少なくしていけるように取り組んでいきたい。
    • 核融合センターやQSTにも行ってみたかったです
    • 普段、見学する事ができなくインターネットや文献のみだったものができて大変ためになりました。
    • 実際のピット処分の現場や中深度処分の試験場など日本で唯一の放射性廃棄物の処分現場を間近で見れて関心が高まった。原発立地周辺の土地開発にも興味があり、バス内からもその土地の状況が観察できて面白かった。また、大間原発では、私自身初めての原発視察であり、規模の大きさを感じ、現場の生の声を聞き、教科書では分からないことを体感できたのが非常に良かった。実際のシュミレーション室も覗くことができ、この分野での関心が高まった。最後に、強いて言うのであれば、原子力を学んでいる学生が多かったと思うので今後の交流も含め、長いバスの道中、それぞれ自己紹介など出来たら良いのかなと思います。